さて、アンテナは平成 9年に撤去されたと書いたが、この撤去工事も当初からもめていたと聞いている。
何をもめていたのかと言うと 撤去方法 であった。
250Mもある高い鉄塔を解体するのに、普通の人間がおおよそ考えつかない方式。
つまりダルマ落とし方式(上部を残して下から解体する)を強力に押す連中がいたらしい。
どう考えても合理的とは言えず、普通に上部から解体する方式が採用されるに
違いないと個人的には確信を持っていた。(確信度120%波動砲発射!)
し・しか〜し!!最終的に数基の解体に限ってダルマ落とし方式が採用されてしまった!
なんて事だ!「おまえら正気か!」と思わず叫んでしまったほどである。建設業界特有の複雑な事情が
絡み合って発行された地獄への片道切符。
そうは言っても、頭の良い技術者が寝ずに計算して導き出した方式のはずだ。慎重にやれば
成功するのか・・・?と、無理矢理、自分を納得させていた。
実際に、この方式で施工されている物もたくさんある。高層ビルを建設する時
すぐ横にまっすぐ立っているタワークレーンがそうである。あれは、組立も解体もダルマ落とし方式なのだ。
解体工事が始まり、現場を通るたびに「何事もなく終わってくれ」と祈るような気持ちになった。
自分も建設業界に身を置く者として気が気ではなかった。
しかし、現実はそう甘くない・・・
最悪のシナリオは現実のものとなってしまう。
ダルマ落とし方式で解体されていた鉄塔が高さ200M以上残した状態で倒壊した。
この事故で作業員の方が1名亡くなられている。あらためてご冥福をお祈りする。
当然、工事は中断され工法の見直しがなされた。通常の上から解体する方式に
すべて変更されたのは、言うまでもない。
すべての鉄塔(アンテナ)が撤去され、しばらくした頃、おかしな物が目にうつった。
解体したはずのアンテナを新しく作っているような工事をしている。道路から離れているので
良くわからなかったが、何もなくなった場所にまたあのアンテナが出現したのだ。
いったい何だ。記念碑のような物なのか?